日本人の死因としてはがんに次いで大きな割合を占めているのが脳卒中や心筋梗塞など、循環器の病気です。何より大事なのは予防ですが、万が一のときにかかる治療費についても知っておきましょう。

脳卒中や心筋梗塞で倒れたら治療法を選択する余裕はない
代表的な循環器病には、脳の血管にトラブルが起こる脳血管疾患(脳卒中)と、心臓の血管に障害が起こる虚血性心疾患があります。
いずれも血管が詰まったり、破れたりする血管病ですから、一刻も早く血流を回復する治療を行わなければなりません。治療法を選択する余裕などないと考えていいでしょう。
麻痺などの後遺症が残ると家計への負担も重く

医療の進歩により、ここ20年くらいでがんや脳卒中、心筋梗塞の死亡率が減っています。しかし、一命をとりとめても手足の麻痺や言語障害などの後遺症が残ったり、再発のリスクや要介護状態になりやすいなど、倒れたあとの生活を大きく変えてしまう病気です。
とくに脳梗塞の治療で開頭手術を受けた場合、麻痺などの後遺症が残ることが多く、リハビリが必要になります。いずれは在宅療養を行うか、介護施設等に入るか決めなければならず、その分、家計への負担は大きくなりがちです。
脳卒中で緊急搬送されたらその後の流れはどうなる?

脳卒中で倒れて入院や手術をした場合、本人や家族が事前に知っておきたいのは、その後の流れです。一般的な経過を見てみましょう。
【急性期(発症から2週間まで)】
救急車などで運ばれた急性期病院で治療を行います。
【回復期(発症から3~6カ月)】
後遺症によってはリハビリテーション専門病院や療養型病床に転院することになります。
【維持期(生活期)】
自宅や施設に戻って、リハビリを行う期間です。
急性期病院にいる期間は意外に短いことがおわかりでしょうか。
次に治療にかかるお金の目安を見てみます。
《治療にかかる費用》
たとえば、脳梗塞で緊急搬送されて開頭手術を受け、43日間入院した人の医療費の例は、次のようになります。
●健康保険対象医療費(平均額)
入院でかかる医療費358万円+外来でかかる医療費1.9万円=359.9万円
●自己負担額の合計
保険診療の自己負担額の合計19.1万円+保険外の費用の合計21.5万円=40.6万円
脳卒中や心筋梗塞で突然倒れないためには、日ごろから自覚症状に注意し、予兆を感じたら早めに受診することが何より大事です。そして、緊急時には一刻も早く適切な治療を受けることが早い社会復帰につながり、経済的な負担も少ないといえます。
『病気にかかるお金がわかる本』
著者:畠中雅子 黒田尚子
発行:主婦の友社