肝臓の数値が高いときは?原因やリスク、自分でできる生活習慣の改善方法を解説

肝臓は、お酒を飲む習慣がある人だけが気をつければ良いものと思われがちですが、その他の生活習慣も悪影響を及ぼすことをご存知でしょうか。肝臓が機能障害となると、さまざまな病気のリスクが高まるため、できるだけ早く改善する必要があります。

そこで今回は、健康診断で肝臓の状態を示す指標が高値だった場合のリスクや、その改善方法について解説していきます。

そもそも肝臓の働きとは?

肝臓は、食べたものをエネルギーに変換する、アルコールなどの有害物質を分解する、腸内での消化吸収に必要な胆汁を作るなどといった、私たちの体に欠かせない働きをしています。肝臓の状態を示す指標として、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)があり、肝臓が機能障害となりそれぞれの数値が基準値を超えてしまうと、肝炎や脂肪肝などといった病気につながる恐れがあります。

肝臓やそれぞれの指標についての詳しい解説はこちらをご覧ください。
肝臓 | 検査値の解説 | 健康年齢

AST、ALTを下げるための生活習慣のポイント

AST、ALTの基準値は30U/L以下とされています。ASTとALTが基準値よりも高い場合は、脂肪肝、急性肝炎、慢性肝炎、肝臓がんなどが疑われます。

肥満が主な原因で、生活習慣では食べすぎやお酒の飲みすぎが特に悪影響を及ぼします。肥満(BMI25以上)の方は、食生活と運動習慣を見直し、まずは減量に取り組むことから始めましょう。ただし、ASTのみ高い場合は心臓や筋肉に関する病気が疑われますので、他の検査も必要となります。

【食事】

ごはんやパンなどの糖質の多い食品、肉料理や揚げ物などの脂質の多い食品などのカロリーが高い食品を食べる量・回数を減らし、野菜やきのこなどの食物繊維の多く低カロリーな食品を積極的に食べるようにしましょう。
間食はカロリー過多となる恐れがあるため、食べすぎに注意してください。また、お酒を飲む習慣がある方は飲む量や頻度に注意しましょう。ビールは中瓶1本、日本酒は1合程度にし、週に2日は休肝日を設けることを目安にしてください。ただし、γ-GTPも高値であると禁酒が必要となる場合があります。

【運動】

有酸素運動(ジョギング、ウォーキングなど)を中心に、1日30~60分、週3日以上体を動かす習慣を持ちましょう。筋肉量を維持するために筋トレを行うこともおすすめです。運動習慣がない方は、買い物に歩いて出かけたり、掃除などの家事を積極的に行ったりして日常生活のなかで活動量を増やすことから始めると良いでしょう。

γ-GTPを下げるための生活習慣のポイント

γ-GTPの基準値は、男性が50U/L以下、女性が30U/L以下とされています。数値が高い場合は、アルコール性肝障害、脂肪肝、慢性肝炎、胆汁うっ帯、薬剤性肝障害などが疑われます。生活習慣ではお酒の飲みすぎや食べすぎが悪化させる原因となるため、なるべくお酒を控え、食事の量を調整することが重要です。

(1)51〜100U/L(要注意)の場合

【食事】

お酒はなるべく控えるようにしましょう。1日あたりの飲酒量は、ビールは中瓶1本、日本酒は1合以下にし、週に2日以上休肝日を設けて肝臓を休ませることが必要です。また、おつまみ選びも抜かりなく、揚げ物などのカロリーが高いものを避けるように気をつけましょう。
食事では、糖質の多い食品(ごはんやパン、甘いものなど)や脂質の多い食品(肉料理や揚げ物など)が多くならないよう、野菜料理を積極的に取り入れて栄養バランスの改善を心がけましょう。特に肥満の方は食べすぎに気をつけ、減量に努めることが大切です。

【運動】

有酸素運動(ジョギング、ウォーキングなど)を中心に、1日30~60分、週3日以上行いましょう。筋肉量維持のために筋トレを行うこともおすすめです。運動習慣のない方は、日常生活のなかで活動量を増やすことから始めると良いでしょう。

(2)101U/L以上(異常)の場合

アルコール性肝障害や膵炎などが進行している恐れがあるため専門病院を受診しましょう。さらに悪化するのを防ぐため、基本的にお酒は控えた方が良いでしょう。他の検査値の結果等によっては禁酒が必須となることもあります。

早期発見して、なるべく早めに生活習慣を改善しましょう!

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、悪化しても症状がなく放置されやすい特徴があります。そのため、定期的に検査を受けて早期発見に努め、生活習慣の改善に取り組みましょう。
ただし、肝臓はウイルスや薬物によって機能障害となる可能性もあるため、数値が高い場合は詳しく検査をする必要があります。不安を感じる方は一人で悩まず医師などの専門家に相談してくださいね。

一ノ木菜摘

プロフィール

管理栄養士
一ノ木菜摘

短大を卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。科学的根拠をもとにダイエットや生活習慣病などを中心としたヘルスケアコラムを執筆している。

【ホームページ】
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