検査値の解説

尿検査は、さまざまな病気を発見するのに役立ちます。腎臓の病気の判定に利用される指標の一つが、尿蛋白です。

尿から何がわかるの?

健康診断では、採取した尿に試験紙か試薬を使って判定を行います。おおよその状態を調べるという意味で、半定量検査と呼ばれている方法です。試験紙や試薬が変色しなければ、尿蛋白陰性(−)で、異常なしと判定されます。
尿蛋白陽性とは、尿にたんぱく質が含まれていることを示します。健康な人の尿には通常、ごく微量にたんぱく質が含まれているものの、尿蛋白はほとんど排出されません。しかし、腎臓になんらかの問題が生じて、正常な状態よりも多くのたんぱく質が尿に含まれることがあります。尿蛋白が陽性(+2)以上の場合には、腎臓の病気が疑われ、二次検査(再検査・精密検査)が必要となります。

病気以外にも尿蛋白陽性の原因はある?

長時間立ったままでいたり、激しい運動、入浴などによって、尿蛋白は一時的に陽性になり、擬陽性(±)と判定されることもあります。また、発熱、多汗・下痢・脱水による尿の濃縮や、精神的なストレスが原因となる場合もあります。

そもそも腎臓の働きって?

腎臓には、私たちの健康はもちろんのこと生命の維持に必要な役割があります。腎臓の主な働きとして、以下の3つが挙げられます。

もしもこれら腎臓の働きが止まると、どのような問題が生じるのでしょうか? 血液をろ過できなくなると、体内に老廃物や毒素がたまって、慢性腎不全を起こします。また、ナトリウム、カリウム、リン、カルシウム、マグネシウムなどの電解質の濃度や水分調整がうまくできなくなると、血液中に酸が増加し、むくみが出ます。また、赤血球の生成や、血圧の調節に必要なホルモンが分泌されなくなると、貧血を起こしたり、高血圧になることもあります。

尿蛋白陽性から考えられる病気と治療費は?

血尿のみ陽性は、泌尿器のがん、結石、膀胱炎、前立腺炎などが疑われます。尿蛋白陽性のみと、蛋白尿と血尿のどちらも陽性の場合は、腎臓でろ過フィルターの役割をする糸球体がうまく働いていない可能性があります。
腎臓の病気は、初期症状がほとんどなく、かなり進行してから、むくみ、だるさ、食欲不振、吐き気、不眠、呼吸困難、頭痛、しびれなどの自覚症状があらわれます。蛋白尿が微量でも、透析が必要な慢性糸球体腎炎に至るケースもありえるので、定期的に検査を重ねましょう。

慢性糸球体腎炎

糸球体に慢性的な炎症が起こり、蛋白尿と血尿が1年以上続きます。自覚症状が出てから比較的短期間で人工透析が必要になるケースもあります。

糖尿病性腎症

糖尿病の合併症の一つで、高血糖値が続き、糸球体毛細血管に障害が起きて発症します。進行につれて血圧が上昇し、高血圧がさらに腎臓の状態を悪化させます。

高血圧による腎障害

蛋白尿が多く、血圧が高いと、自覚症状がほとんどないままに、腎臓の機能がだんだん衰えます。人口透析が必要になる場合もあります。

膠原病による腎障害

膠原病の中でも、全身性エリテマトーデスが、腎臓の障害を起こしやすいとされています。最終的には、透析を必要とする腎不全に至ります。

なお、人工透析には、週に3回ほど通院が必要で、1回につき4~5時間も時間を費やすことになります。このように、尿蛋白に関わる病気は医療費のかさむリスクが大きく、健康年齢が高くなってしまうことがあります。
(健康年齢算出のしくみ)

尿蛋白の値を下げるには?

規則正しい食事を基本に、体重管理、血圧と血糖値の管理が必要です。医師の指導の下、治療を進めましょう。

※記載内容が必ずしもすべて正しく、すべての方に当てはまるわけではありません。予めご了承ください。