中性脂肪は高いのも低いのもNG?原因や体への影響、改善方法について解説

中性脂肪はトリグリセリド(トリグリセライド)ともいい、人の体に必要な脂質の一つです。しかし、中性脂肪が増えすぎたり、減りすぎたりすると健康に悪影響を与える恐れがあるため、健康診断の際に確認をする必要があります。

そこで今回は、中性脂肪が基準値から外れてしまうと、体にどのようなリスクがあるのか、改善方法と共に解説していきます。

中性脂肪とは?

中性脂肪には体内にエネルギーを貯蔵する役割があり、必要となった際に分解されてエネルギー源となります。基準値は空腹時の測定で30〜149mg/dlとされており、150mg/dl以上の場合は高トリグリセライド血症とされ、HDLコレステロールなどのそのほかの血中脂質の数値にも悪影響を与えます。進行すると動脈硬化となり血管が詰まりやすくなって心筋梗塞や脳梗塞などさまざまな病気を引き起こしやすくなります。
一般的に中性脂肪は高い場合ばかりが注目されがちですが、基準値よりも低い場合も低栄養などの健康リスクがあるため、注意が必要です。

中性脂肪について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
中性脂肪 | 検査値の解説 | 健康年齢

中性脂肪が高いとどうなる?下げるための生活習慣のポイント

中性脂肪が高くなる主な原因として、エネルギー(カロリー)のとりすぎがあげられます。肥満(BMI25以上)の方の場合は、まずは減量から取り組む必要があります。
中性脂肪を下げるためには、毎日の食事で食べすぎないように気をつけ、特に糖質とアルコールを控えるように意識することが重要です。甘いものや脂っこいもの、お酒などをとりすぎていないか見直してみましょう。

(1)150mg/dl〜499mg/dlの場合

これ以上悪化しないよう、食生活や運動習慣を見直してみましょう。ただし300mg/dlを超えている場合、虚血性心疾患を発症するリスクが高くなるため、早めに医師に相談するようにするようにしてください。

【食事】

ごはんやパンなどの糖質の多い食品、肉料理や揚げ物などの脂質の多い食品を食べる量・回数を減らし、野菜やきのこなどの食物繊維の多い食品を積極的に食べるようにしましょう。なるべく甘いお菓子やスナック類などの間食、お酒は控える方が好ましいですが、お酒を飲む際には一緒に食べるおつまみの選び方にも意識を向け、揚げ物などカロリーの高い食品を選ばないように気をつけてください。魚に含まれる脂質(n-3系多価不飽和脂肪酸)には、中性脂肪を下げる作用があるため、日々の食生活の中で魚を取り入れるようにするのも良いでしょう。

【運動】

週3回以上、できるだけ継続して運動をする習慣をつけると中性脂肪が改善されると言われています。1日30分以上、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動をするのがおすすめです。なお、30分まとめて運動しなくても合計で30分以上であれば同様の効果があるとされています。ただし、ほかに病気がある方は、医師に相談して運動の可否や運動内容を決めることが必要です。隙間時間を使うなどして、ご自身にあったやり方で運動の習慣化を心がけましょう。

(2)500mg/dl以上の場合

急性膵炎※のリスクが高くなるため、できるだけすぐに医師に相談し、数値を下げるように努めることが重要です。
※急性膵炎とは膵臓が炎症を起こす病気のことで、上腹部痛や嘔吐などの症状をきたします。悪化すると意識障害などを引き起こす恐れがあります。

中性脂肪が低いとどうなる?改善するための生活習慣のポイント

中性脂肪が低くなりすぎてしまうのも注意が必要です。ストレスがたまりやすくなり、集中力が低下して、健康に悪影響を及ぼすこともあります。さらに進行すると低βリポたんぱく血症や低栄養につながる恐れがあります。

中性脂肪が低くなりすぎてしまう主な原因には、過度な食事制限や激しい運動、痩せが挙げられます。中性脂肪を高めるにはこれらの原因を避け、しっかりと食事をとることが重要となります。

(1)基準値以内(30〜149mg/dl)でも低めの場合

これ以上低くならないように食事の見直し・改善をすることが重要です。
ごはんやパンなどのエネルギー源となる糖質がとれる「主食」、肉や魚、卵などたんぱく質がとれる「主菜」、野菜やきのこ、海藻などビタミン・ミネラルなどの栄養素がとれる「副菜」を揃えて、食事の栄養バランスが整うように意識をしましょう。1回の食事に3色(黄・赤・緑)の食材を揃えると、栄養バランスが整いやすくなります。
痩せ(BMI18未満)の方は、食事量が足りない可能性があるため1回の食事でごはんを茶碗1杯程度、メインのおかずを1皿しっかりととり、今の食事よりも少しずつ量を増やすと良いでしょう。痩せではない方は、栄養バランスの良い食事をとり食べる量を減らさないように意識して体重が落ちないよう気を付けましょう。

(2)29mg/dl以下(要注意)の場合

低βリポたんぱく血症や低栄養の疑いがあるため、なるべく早く医師に相談しましょう。

定期的に検査をして生活習慣を見直そう

食べすぎや過度な食事制限は、中性脂肪に影響を与えご自身が気づかないまま進行するリスクがあることを理解しておくことが重要です。病気を予防し健やかな生活を送るためには、定期的に検査をして、生活習慣を見直すように心掛けていきましょう。

一ノ木菜摘

プロフィール

管理栄養士
一ノ木菜摘

短大を卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。科学的根拠をもとにダイエットや生活習慣病などを中心としたヘルスケアコラムを執筆している。

【ホームページ】
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