健康診断でコレステロールが異常だったらどうすればいい?今日からできる改善方法をご紹介

健康診断でコレステロール値に問題があると指摘されたことはありますか?
その場合、心筋梗塞、脳梗塞といった怖い病気のリスクを高める“脂質異常症”である可能性が高いと考えられます。コレステロールが気になり始めたら、早めに毎日の習慣を見直してみましょう。

そこで今回は、知っておきたいコレステロールの基礎知識や、取り返しがつかないことになる前に取り組みたい改善方法について解説していきます。

そもそもコレステロールとは?

コレステロールは、細胞膜やホルモン、栄養素の消化吸収を助ける胆汁酸の原料になるなど体内で重要な役割を担っています。2~3割が食品から取り入れられますが、ほとんどは糖や脂肪を材料に体内で合成されています。

血液検査では、主に善玉とよばれるHDLコレステロールと、悪玉とよばれるLDLコレステロールの濃度を確認します。生活習慣などの何かしらの要因でHDLとLDLのバランスが崩れ、血液中のコレステロールが過剰となるのが“脂質異常症”と呼ばれる状態です。LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っており、増えすぎてしまうと動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性を高めます。逆に、HDLは血液中の余分なコレステロールを回収する働きがあるため、不足してしまうと動脈硬化を引き起こす原因となります。最近ではnon-HDLコレステロールという指標を確認することもありますが、これは総コレステロールからHDLコレステロールを除いたもので総悪玉ともよばれます。LDLと同様に高値の場合は動脈硬化性疾患のリスクが高いことを意味します。

コレステロールについての詳しい解説はこちらをご覧ください。
コレステロール | 検査値の解説 | 健康年齢

LDL(悪玉)コレステロールを改善するための生活習慣のポイント

LDLコレステロールの正常範囲は60~119mg/dlとされており、120~139mg/dlで境界域高LDLコレステロール血症、140mg/dl以上で高LDLコレステロール血症と診断されます。

(1) 120~179mg/dl(要注意)の場合

検査値がこの範囲にある場合、120~139mg/dlは軽度異常、140~179mg/dlは要再検査・生活改善と判定されます。どちらの判定であったとしても、これ以上悪化させないために、生活習慣の改善に取り組む必要があります。まずは食習慣や運動習慣で次のことを見直してみましょう。

ただし140mg/dl以上の方で、生活習慣を改善する努力をした上で数値が改善されない際には、医療機関を受診しましょう。もし、糖尿病、慢性腎臓病、心疾患がある場合は、動脈硬化が進行している可能性が高いため、軽度異常の範囲でも医療機関でなるべく早めに検査をすることを推奨します。

【食事】

LDLコレステロールを減らすためには、卵などの高コレステロールの食品を控えることも大切ですが、肉の脂身やラード、バターや生クリームなどに多く含まれる飽和脂肪酸をとりすぎないようにすることを忘れてはいけません。普段お肉が中心の食生活をしている場合、お魚を食べる頻度を増やすことを意識してみましょう。また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品をよく食べる習慣がある方は、低脂肪や無脂肪の製品を選ぶと良いでしょう。飽和脂肪酸はチョコレートやインスタントラーメンなどの加工食品にも含まれているため、脂質が多い加工食品はとりすぎないように気をつけてください。また、肥満(BMI25以上)の方の場合は、減量に取り組むことでLDLだけでなく血清脂質全体の改善が見込めることが明らかにされています。

【運動】

まずは、運動不足にならないように少しでも体を動かす習慣をつけましょう。おすすめは有酸素運動(ウォーキング、水中運動など)で、1日合計30分以上、週3日以上(可能であれば毎日)または週に150分以上、中強度以上の運動をする習慣ができると、LDLをはじめ血清脂質の改善に効果があることが分かっています。筋トレ(レジスタンス運動)を行うこともおすすめです。

(2) 59mg/dl以下、180 mg/dl以上(異常)の場合

LDLは高すぎるのも低すぎるのも良くないとされています。この範囲に該当する場合は要精密検査・治療と判定されますので、できるだけ早く医師に相談し、治療に取り組みましょう。

HDL(善玉)コレステロールを改善するための生活習慣のポイント

HDLコレステロールの正常範囲は40mg/dl以上であり、40 mg/dl 未満だと低 HDL コレステロール血症と診断されます。HDLコレステロールの低値はトリグリセライド(中性脂肪)の高値と連動することが多く、肥満や喫煙、運動不足が要因になっている場合が多いようです。

(1) 35~39mg/dl(要注意)の場合

検査結果がこの範囲に該当する場合、生活習慣の改善に取り組む必要があります。特に運動習慣について、次の内容を見直してみましょう。

【食事】

現在、HDLコレステロールの改善に特化した食習慣の改善方法は明らかにされていませんが、これまでの研究でトランス脂肪酸やアルコールとの関連が示されてきました。
ハードマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、そしてこれらを用いた揚げ物や菓子などに多く含まれている傾向がある“トランス脂肪酸”はLDLを上昇させ、HDLを低下させるとの報告があります。ただし、最近は食品の製造方法の改良により、これらの食品におけるトランス脂肪酸の含有量が低減していることが分かっています。ただし、脂質の多い菓子類やパン類ばかりを食べるような偏った食事をしている場合はとりすぎてしまう可能性があるため、注意が必要です。また、アルコールにはHDLコレステロールを高める働きがありますが、飲酒は高血圧や肝障害を引き起こすため、飲酒を勧めることはできません。

【運動】

まずは、運動不足にならないように体を動かす習慣をつけるようにしましょう。有酸素運動(ウォーキング、水中運動など)を中心に、1日合計30分以上、週3日以上(可能であれば毎日)または週に150分以上中強度以上の運動をすると、HDLをはじめ血清脂質の改善に効果があることが分かっています。筋トレ(レジスタンス運動)を行うこともおすすめです。運動習慣のない方は、日常生活のなかで少しずつ活動量を増やす工夫をしてみると良いでしょう。

(2) 34mg/dl以下(異常)の場合

この範囲に該当する場合は要精密検査・治療と判定されます。できるだけ早く医師に相談し、治療に取り組みましょう。

1日でも早く、生活習慣の改善に取り組みましょう!

今回ご紹介をした食習慣や運動習慣の改善のほかに、喫煙されている方の場合は禁煙をすること、飲酒習慣がある方の場合はお酒を控えることで動脈硬化性疾患の予防に効果が出ることが分かっています。

今は検査結果が正常の範囲内の方も、油断は禁物です。今後も継続して健康診断を受診するようにしましょう。保健指導の対象に該当している場合は、特定保健指導を積極的に活用しながら、生活習慣の改善に取り組んでみてくださいね。

藤橋ひとみ

プロフィール

管理栄養士
藤橋ひとみ

株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役。大手食品メーカー開発職、ベンチャー企業での勤務を経て、フリーランスの管理栄養士として独立。商品開発コンサルティング、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動している。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得に向けて栄養疫学研究を行う。発酵食品や大豆製品に関する資格を多数取得し、管理栄養士の知識を活かしながら、その魅力を発信している。

【ホームページ】I’s Food & Health LABO.|アイズフードヘルスラボ