尿糖を下げるためにできる生活習慣について管理栄養士が徹底解説!

尿検査には尿中に含まれる糖分を検出する尿糖という指標があります。尿糖が高いことが健康診断の際に判明した場合、どのようなリスクがあるのかご存知ですか?

今回は、尿糖について知っておきたい基礎知識と、改善するために意識をしたい生活習慣について解説します。

尿糖がプラス(+)ってどんな状態?

尿糖がプラスの場合、尿中に多くの糖分が出てしまっている状態のことをいいます。健康な人の尿にはごく微量の糖しか含まれていませんが、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇する糖尿病や甲状腺機能亢進症などの病気がある場合、尿中に多くの糖分が出てしまうため注意が必要です。

尿糖について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
尿糖 | 検査値の解説 | 健康年齢

尿糖を下げるにはどうしたらいいの?

尿糖を下げるためには高血糖の状態が続かないようにすることが大切です。
食事全体のカロリーを抑えて、食物繊維をしっかりとること、禁煙をして適度な運動を行い良質な睡眠をとることを意識しましょう。

(1) ±(要注意)の場合

尿に正常よりも少し多めの糖が含まれている状態であるため、一時的に高血糖状態になっている可能性も考えられます。これ以上悪化させないために、日々の食生活を振り返り、改善をすることが大切です。まずは次の2つを意識することから始めてみましょう。

【食事】

肥満の場合、インスリンの働きが弱くなり高血糖になりやすくなることが明らかにされています。甘いお菓子やジュース、アルコールなどの糖質が多い食品の食べすぎに注意が必要です。

また、食物繊維は食後の糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。1日のうち1食の主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えることで効率よく食物繊維をとることができます。食物繊維が豊富に含まれる豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などを日々の食事に取り入れることを心がけてみましょう。

【運動】

血糖値改善のために有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせて行うことが推奨されています。有酸素運動は中強度で週に150分かそれ以上、週に3回以上、運動をしない日が2日以上続かないように行ってみましょう。レジスタンス運動は連続しない日程で週に2,3回行うと良いとされています。

(2) +以上(異常)の場合

尿に糖が出た場合、1+(+)、2+(++)、3+(+++)、4+(++++)の4段階で示されます。尿糖が+の異常値の場合、血糖値が高くなる糖尿病や腎臓の病気が背景にある可能性があるため、血液検査で病気の特定が必要です。なるべく早めに検査を受けるようにしましょう。
±(要注意)の場合でお伝えした食習慣や運動習慣の改善に加えて、禁煙への取り組みも特に大切になります。

【禁煙】

喫煙は、交感神経を刺激して血糖値を上げるだけでなく体内のインスリンの働きを妨げてしまうため、±(要注意)の段階から取り組んだ方が好ましいです。治療の妨げとなるほか、脳梗塞や心筋梗塞・糖尿病性腎症などの合併症のリスクが高まることがわかっているため、+の場合はより強く意識する必要があります。

尿検査で糖尿病の早期発見を

尿検査で尿糖が陽性の場合、血液検査と照らし合わせることで糖尿病の早期発見に繋げることができます。もし異常が見つかった場合は、放っておかずに早めに対処を。生活習慣の改善をするだけでなく、なるべく早めに医療機関を受診するようにしましょう。

プロフィール

管理栄養士
落水陽香里

調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートをしている。また、管理栄養士として信頼できる健康情報を発信したいと思い、ヘルスケアコラムライターとして活動している。